便利な地域にある国内の教育移住先
子どものためにより良い教育を求めて家族で移り住む「教育移住」。
文科省が“個を大切にする”教育へと方向転換する中で、対応はそれぞれの自治体や学校、教諭個人に任されているのが現状であり、地域の環境や資源なども大きく影響し、その到達度が違ってきています。
長野県は昔から、「豊かな自然環境の中で子育てがしたい」などの一定のニーズがあり、東京や中部地方などからアクセスのも良いため移住先として選ばれていましたが、コロナ禍以降はリモートワークの定着などからファミリー層の移住は増加傾向にあります。
地の利だけでない理由とは
◆コミュニティ・スクール
長野県は古くから“教育県”とされて教育熱心で、もともとがまじめな県民性なこともあって、学校教育・幼児教育に力を入れている自治体も多いです。
文科省が推進する「コミュニティ・スクール」は、正式な呼び方を“学校運営協議会制度”といい、地域住人で組織する「学校運営協議会」が様々な権利を持って学校運営に参画する制度です。
長野県では昔から地域の学校に対するプライドが高く、“おらほの学校”といった気概で周辺整備や校内での地域教育などにボランティアとして精を出す人も多かったために、あっという間にコミュニティ・スクールの概念は浸透しました。
コミュニティ・スクールでは、地域の人が総合的な学習の授業などでサポートするために、特色ある学校づくりが実現し、林業や農業などだけでなくその道のプロと学校内で出会えたり、地域の特産品を地元の個人や企業とともに開発・普及したりするなど、魅力ある子どもたちの学びの姿が話題となって、移住希望者が増えている学校も数多くあります。
長野県は当初、独自に「信州型」のコミュニティ・スクールを取り入れましたが、現在では文科省型に切り替えている自治体が多くなってきています。
※コミュニティ・スクールとは(文科省サイト)
◆信州やまほいく認定制度
敷地面積の8割近い広大な森林を有する長野県。
2015年にスタートした「信州やまほいく認定制度」は、雄大で懐が深い自然環境の良さを積極的に幼児教育の場に取り入れ、心身ともに健やかに成長してほしいとの願いが込められています。
屋外での自然保育に重点を置く「特化型」と、通常の保育の中で自然保育の良さを生かした活動を取り入れる「普及型」に分かれています。
※信州やまほいく(信州型自然保育)認定制度(長野県サイト)
大町市の場合
大町市で子育てをして、大町市で移住定住事業にかかわるkazenoyaは、この長野県の教育環境の良さ、すばらしさを実感しています。
大町市は早々に全小中学校を文科省型コミュニティ・スクールに切り替えた自治体でした。
山間部にある美麻小中学校という公立の義務教育学校(小中一貫)が先進的な取り組みをけん引していたため動きが圧倒的に早く、地域ボランティアが教える授業が根付いています。
わが家の息子も、猟友会の方の授業などを受けたと家で話してくれてことがありました。
美麻小中学校では、花豆の六次産業化に取り組む学年や、有害鳥獣として駆除されたシカの皮を有効利用する学びを地域の「小さな拠点」の人たちとともに進める学年、空き家問題に取り組む学年などがあり、全国から視察も多いです。コミュニティ・スクール化以前から取り組む、アメリカ・メンドシーノとの交換留学プログラムなど、おおよそ公立とは思えない取り組みで、じわじわと移住者が増えている学校です。
※美麻小中学校(学校ホームページ)
わが家の子育て時代の思い出
子どもが小さいころに通っていた公立の保育所でも、地域の漁協の方が、「わっぱらんど」(水土里ネットながのサイト)という親水エリアに準備して招いていくれる「魚つかみ」に参加した日に、大量のニジマスを持って帰ってきたことがありました。
魚つかみは、地区の子ども会や夏のイベントでは恒例の夏のお楽しみ行事で、そういう意味では、信濃の国の子育ては常に自然保育と共にあります(笑)
本当に楽しい思い出をたくさん作りました。
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ちなみに、大町市の公立保育所はすべて、普及型の信州やまほいくの認定を受けています。

認定園でなくても、野外活動は豊富です。どんぐりから這い出てくる虫、ポケットに入っているダンゴムシ、カエルつかみぐらいで動揺していては、長野県の母親は務まりませんよ(笑)